あほな話

誰かが読んでくれると嬉しい話

いつか必ず終わる理由

いい歳になってから初めて一人暮らし。たった十日間だけど。
それがつらすぎるのだ。孤独の寂しさが身に染みる。
それがストレスになって体調もますます悪化。
早く死にたい、冗談ではなくて。
いつになるかわからない寿命まで耐える自信はない。


少なくとも人間には意識というものがあって、
それを「この一人の体が自分であるという感覚」だと定義すると、
死とともに消えてしまうと私は確信している。
だって、死体に意識が宿っているとは思えないから。
いつか必ず消える意識とは何だろう。
いつか覚めて終わる睡眠中の夢や、いつか終えるゲームみたいなもの。
ゲームは仮想世界に没頭するようなものだ。
この世に生まれて、いつか必ず死ぬのと似ている。
いつか必ず終わる世界は、本当の現実ではない。
本当の現実ではないから、いつか必ず終わって、
それに向けていた意識も消える。
私がここにいる一人の人間だという意識は、
永遠の現実ではなく、いつか必ず終わって消える。
その時、失うのは意識だけであって、
自分自体を失うわけではないとしたら?
その自分自体とはいったい何なのか?
もし、自分が意識そのものなら、意識の消失とともに自分も消える。
そうなら、何もかもすべてが消えてなくなる。


もし本物の現実なら、永遠に続くだろう。
睡眠中の夢はいつも覚めて終わる、ゲームもいつか必ず終える。
仮の存在だからこそ、いつか必ず消える。というか、
本当は実在しないのだから、幻覚のようなものだ。
無から発生して消えるのは、まるで誰かの空想みたいだ。
宇宙がもし有限なら、何もない所から発生して、いつか消える世界だろう。
宇宙がもし無限なら、無限の過去から存在して、無限の未来に続くだろう。
いや、そんなことがあるだろうか?
有限だからこそ価値があるのでなかったか?
夢や幻覚やゲームのほうが価値があるというのか。
いや、そうかもしれない。


昔、母に「死んだらどうなるの?」と訊いたら、
母はたった一言「どこにもいなくなる。」と答えた。
それは忘れられない重大な言葉となった。
他のどんな人たちの不可解な話よりもずっと的を得ている。