あほな話

誰かが読んでくれると嬉しい話

マネキンと間違えられた話

ある観光地の土産物店で待ち合わせのため立っていると、
地元の子供の一人が私にゆっくり近づいて見つめるので、
私がその子の方へ視線を移すと、その子は後ずさりして
向きを変えて逃げるように去っていきながら、
「うわーっ。マネキンじゃなかった!」と叫んだ。
そして、つるんでいた仲間を呼んで、遠くから私を指して
「あの人じっとしているからマネキンかと思った。」と
言いながら、連れ立って再び私のそばにやってきた。
からかわれているのか本気なのか私は、戸惑いながら
しばらく微動だにしないでおいた。しかも、
子供たちが私を見ていない一瞬の隙に、
まばたきを済ませるという徹底ぶりで。
すると子供たちは、
「え?マネキンじゃん。おまえつまらん冗談よせよ…」
「嘘じゃない、さっきギョロッとこっち見たもん!」
「うそうそー、まばたきしてないじゃん。」などと、
子供たちはわいわいと、しばらく遊び戯れていた。


ところで私は、店先や店内のマネキンを、
周囲にいる他の買い物客と間違えたことならある。
それはまあ、視力が弱いせいだけど。